2010年3月1日月曜日

森村泰昌展・なにものかへのレクイエム:東京都写真美術館

私達は、戦場の頂上に旗を掲げます

意気揚々たる、勝ち誇る旗ではありません
一枚の薄っぺらな画用紙 平々凡々たるカンバス
私の旗は 白い旗です
見上げれば、宇宙の風 見下ろせば、戦える大勢の人々
宇宙の風と戦いの影がせめぎあう 地球の頂上に立ち
あなたなら どんな形の どんな色の どんな模様の旗を掲げますか
(新作映像作品《海の幸・戦場の頂上の旗》より)

80年代から一貫して、名画の登場人物や映画女優などに自らが「なる」変身型セルフポートレイトの写真作品を手がけてきた美術家・森村泰昌。本展では、森村が「20世紀の男たち」に扮する新作シリーズ<なにものかへのレクイエム>を完全版でご紹介します。

20世紀は男たちが建設し、争い、破壊してきた歴史であるにもかかわらず、21世紀の現代では急速に「男性的なるもの」の価値が忘れ去られようとしています。森村泰昌はかつて<女優>シリーズで、映画という「フィクション」のなかで輝きを放つ20世紀の女たちの世界を表現しました。<なにものかへのレクイエム>シリーズでは、森村は「男性的なるもの」の輝きを求めて、政治や戦争、革命という「現実」の世界、20世紀を記録したシリアスな報道写真の世界に取組んでいます。<美術史の娘><女優>シリーズと過去に発表した作品のなかで、女性に「変身」するイメージが強かった森村泰昌。「男たち」になることは、自らの身体を 媒介にして性を自由に超越し、「私」の可能性を追求するセルフポートレイトの新たな挑戦でもあります。
(東京都写真美術館のサイトより抜粋)

日本兵に扮する森村泰昌さんが最後に「あなたは何の旗を掲げるのか」と観客に
問いかけます。それは今現代社会におけるあなたの「旗」を問い詰めたようなものです。
ぜひ、ご覧ください。


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