2010年2月25日木曜日

元祖吸血鬼映画「ノスフェラトゥ」

1897年に出版されたブラム・ストーカー(1847年-1912年)原作「吸血鬼ドラキュラ」の映画化権を獲得できないままフリードリッヒ・ウィルヘルム・ムルナウ(1888年-1931年)が、役名と場所を変える事により、なかば強引に映画化した1922年の元祖ドラキュラ映画「ノスフェラトゥ」。結局、ムルナウの創ったこの映画「ノスフェラトゥ」は、内容的にほとんどブラム・ストーカーの原作と同じであった為、遺族であるストーカー夫人フローレンスより著作権侵害で訴えられ、約3年の裁判の結果、敗訴。映画公開の中止、いわゆるお蔵入りとなっただけではなく、フィルムの破棄をも命じられる事となり、永遠に葬りさられる運命の作品となったのである。

しかし、そこは、いつの時代にも、見てはいけないというものは見たくなる、という人間の心理と、この作品に対する製作者達の思い入れが一致したのか、破棄を免れた一部のフィルムが、今で言う海賊版として、原作の著作権保護期間(法的にはアメリカ・ドイツは死後70年の為、1982年)が切れるまで保管され続けた。そして、この作品の歴史的価値と驚くべきクォリティは、その後の映像作家に影響を与え続けていたのである。


この「ノスフェラトゥ」という作品には、こうした幻となるべき運命をくぐりぬけてきたあやうい歴史と、作品自体の怪奇ロマン的な内容とが相まって、より神秘的なイメージがうえつけられたのである。

今日のレッスン時に話したこの「ノスフェラトゥ」。それをみんなにもぜひ、見ていただきたいという思いから紹介させていただきました。
ストーリーの内容よりその映像美をぜひ、堪能してください。

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